不動産買取のデメリットと注意点|仲介より安くなる理由を試算

不動産買取のデメリットと注意点|仲介より安くなる理由を試算

この記事でわかること

  • 不動産買取の最大のデメリットである価格差の目安
  • 買取価格が下がる理由と、契約前に確認すべき注意点
  • 差額を払ってでも買取を選ぶ価値がある6つのケース

不動産会社に「買取なら今すぐ買えます」と言われて金額を聞き、思ったより低くて戸惑った経験はないでしょうか。

買取価格が市場価格を下回るのは、その会社が不当な提示をしているからではありません。買い取った家を修繕して再販する費用と利益が、あらかじめ差し引かれているためです。ただしその差は数百万円になることも珍しくありません。

問題は、いくら安くなるのかを知らないまま判断してしまうことです。仲介で売った場合の見込みを聞かずに買取だけで決めると、差額がどれくらいだったのかは最後までわかりません。

この記事では、買取が仲介と比べてどれくらい安くなるのかを試算で示し、その差を払ってでも買取を選ぶ価値があるのはどんな場合かを整理します。

目次

不動産買取の最大のデメリットは価格が下がること

不動産買取の相場は市場価格の6割から8割

買取価格がどれくらいになるかは、物件の状態や地域、会社によって変わります。一般には市場価格の6割から8割程度が目安とされますが、幅があるため実際の金額は査定を受けてみないとわかりません。

仮に仲介なら3,000万円で売れる物件を、市場価格の7割で買い取ってもらった場合を試算します。

仲介と買取の手取り額を比べた試算例仲介で3000万円で売れた場合、仲介手数料105万6千円を引いた手取りは約2894万円。買取で市場価格の7割にあたる2100万円だった場合、仲介手数料はかからず手取りは2100万円。差はおよそ794万円。試算例:仲介なら3,000万円で売れる物件の場合条件を仮に置いた計算です。実際の金額は物件と会社によって変わります仲介手取り 2,894万円手数料売却価格 3,000万円 − 仲介手数料 105万6千円(税込)= 手取り 2,894万4千円買取手取り 2,100万円買取価格 2,100万円(市場価格の7割と仮定) 仲介手数料はかからない差はおよそ794万円この差を、早く確実に売れることの対価としてどう見るかで判断が分かれます
仲介と買取で手取りを比べた試算例

不動産買取なら仲介手数料はかからない

買取では不動産会社が買主なので、仲介という行為が発生しません。そのため仲介手数料もかかりません。

仲介手数料は売買価格が400万円を超える場合、売買価格の3%+6万円に消費税を加えた額が上限です。3,000万円の売買なら105万6千円になります。この分は買取のほうが有利に働きます。

とはいえ、価格差のほうが手数料より大きくなるのが通常です。手数料が浮くことを理由に買取を選ぶと、多くの場合は損をします。

買取と仲介の差額をどう考えるか?

試算のとおり、差が数百万円になることは珍しくありません。この金額を「損」と見るか、「早く確実に売れることの対価」と見るかで判断が分かれます。

判断の前に確認しておきたいのは、仲介で売れなかった場合に発生する費用です。売れるまでの間も固定資産税はかかり続け、空き家であれば管理の手間や費用も生じます。半年、1年と延びれば、その分の負担が積み上がります。

期間が読めない物件では、仲介の高い価格が机上の数字で終わることもあります。買取と比べるときは、売却価格だけでなく、売れるまでにかかる時間と費用も含めて考えてください。

なぜ不動産買取は安くなるのか?価格が下がる2つの理由

再販までの費用と利益が差し引かれる

不動産会社は買い取った家をそのまま放置するわけではありません。修繕やリフォームをして、次の買い手に売ります。

その過程で、修繕費、保有している間の固定資産税、再販時の広告費、そして会社の利益が必要になります。これらが買取価格から差し引かれるため、市場価格を下回ります。

売れ残るリスクを会社が負う

仲介では、売れなかった場合の負担は売主が抱えます。買取では、買い取った後に売れ残るリスクを会社が負います。

そのリスクの分だけ、買取価格は慎重に設定されます。立地が悪い、再販しにくい物件ほど、下がり幅は大きくなります。

不動産の仲介と買取の違い

誰が買主になるかが違う

仲介は、不動産会社が買い手を探してきて、その人に売る方法です。会社は売主と買主の間を取り持つ立場で、成約したときに仲介手数料を受け取ります。

買取は、不動産会社そのものが買主になる方法です。会社は買い取った家を修繕したり建て替えたりして、後で第三者に売ります。

この違いから、金額・期間・手数料のすべてに差が生まれます。

項目仲介買取
買主第三者(個人が多い)不動産会社
価格市場価格に近い市場価格より低くなる
期間3〜6か月が目安2週間〜1か月が目安
仲介手数料かかるかからない
内見必要不要なことが多い
売れるかどうか買い手次第で確定しない金額に合意すれば確定する
契約不適合責任売主が負う免除されることが多い

期間の差はどこから生まれるか?

仲介で時間がかかるのは、買い手を探す期間があるからです。売り出してから問い合わせが入り、内見があり、条件の交渉をして、ようやく契約に至ります。買い手が現れなければ、その期間は延び続けます。

買取にはこの期間がありません。会社が査定額を出し、売主が合意すれば、あとは契約と決済の手続きだけです。

仲介と買取で現金化までにかかる期間の違い仲介は売り出しから買主を探す期間があるため3か月から6か月かかることが多い。買取は不動産会社が直接買うため買主を探す期間がなく、2週間から1か月程度で終わる。現金を受け取るまでの期間0か月2か月4か月6か月仲介査定売り出し・内見・買主を探す契約・決済目安3〜6か月。買主が現れなければさらに延びる買取査定契約・決済目安2週間〜1か月。買主を探す期間がない期間は物件の条件や時期によって変わります
仲介と買取で現金化までの期間はこれだけ違う

デメリットを踏まえても不動産買取が向いている6つのケース

ケース1:売却の期限が決まっている

転勤の日程が決まっている、住み替え先の購入代金の支払いが迫っているなど、期限がある場合です。仲介では買い手が現れる時期を選べないため、期限に間に合わない可能性があります。

ケース2:近所に知られたくない

仲介では広告を出し、内見のために人が出入りします。売りに出していることは自然と周囲に伝わります。買取なら広告を出さずに済むため、知られずに売却できます。

ケース3:室内の状態が悪い

老朽化が進んでいる、残置物が多い、長く空き家だった場合です。仲介では買い手に敬遠されやすく、売り出す前に修繕や片付けを求められることもあります。買取ではそのままの状態で引き渡せることが多くあります。

ケース4:内見の対応が難しい

遠方に住んでいる、仕事が忙しい、高齢で対応が負担といった場合です。仲介では休日を中心に内見の立ち会いが発生します。

ケース5:仲介で売り出したが売れなかった

数か月売り出しても問い合わせがない場合、価格を下げるか、買取に切り替えるかの判断になります。値下げを重ねた末に結局買取になるなら、早い段階で切り替えたほうが負担は軽く済みます。

ケース6:引き渡し後のトラブルを避けたい

仲介で個人に売った場合、引き渡し後に見つかった不具合について売主が責任を負うことがあります。これを契約不適合責任といいます。買取では不動産会社が物件の状態を把握したうえで買うため、この責任が免除される契約になることが多くあります。

仲介での売却が向いているケース

時間に余裕がある

売却の期限が決まっていないなら、仲介で買い手を探すほうが手取りは大きくなります。半年程度の余裕があれば、多くの物件は仲介で売却できます。

立地や状態がよい

駅に近い、築年数が浅い、人口が減っていない地域といった条件がそろっていれば、買い手は見つかりやすくなります。こうした物件をあえて買取に出す理由はほとんどありません。

少しでも高く売りたい

手取りを最優先するなら仲介です。買取との差額は、多くの場合その物件の数か月分から数年分の維持費を上回ります。

不動産の買取保証という選択肢と、その注意点

仲介と買取の中間にあたる方法もあります。買取保証です。

まず仲介で売り出し、あらかじめ決めた期間内に売れなかった場合、不動産会社が決めておいた金額で買い取る仕組みです。期限内に高く売れる可能性を残しつつ、売れなかった場合の下限も確保できます。

買取保証の注意点

  • 買取価格は最初に決めるため、市場価格が上がっても金額は変わらない
  • 専任媒介または専属専任媒介が条件になることが多い
  • すべての不動産会社が扱っているわけではない
  • 物件の条件によっては引き受けてもらえない

利用を検討する場合は、保証される金額と期間を契約前に書面で確認してください。

買取と仲介どちらにするか判断する手順

  1. 仲介で売った場合の見込み価格を、複数の会社に査定してもらう
  2. 買取価格も、複数の会社に出してもらう
  3. 2つの差額を確認する
  4. 売却の期限があるかどうかを整理する
  5. 売れるまでにかかる維持費を差額と比べる

仲介と買取の両方の金額を並べてから決めてください。片方だけを見て判断すると、その差がどれくらいかを知らないまま選ぶことになります。

買取を扱う会社と、仲介を主にしている会社は必ずしも同じではありません。両方の金額を集めるには、複数の会社に当たる必要があります。

不動産買取のデメリットに関するよくある質問

買取の査定を受けたら、必ず売らないといけませんか?

その必要はありません。査定は金額を出してもらう行為で、売るかどうかは所有者が決めます。金額を見てから仲介に切り替えることもできます。

買取価格は交渉できますか?

交渉の余地はあります。ただし買取価格は再販時の見込みから逆算されるため、大幅に上がることは多くありません。複数社に査定を出してもらい、最も高い金額を基準に交渉するほうが現実的です。

買取だと必ず安くなりますか?

仲介で売れる見込みのある物件なら、買取のほうが安くなるのが通常です。ただし、仲介では買い手がつきにくい物件では、買取価格のほうが結果的に高くなることもあります。売れずに値下げを重ねた場合や、維持費が積み上がった場合です。

買取なら室内を片付けなくてよいですか?

会社によります。残置物がある状態のまま買い取る会社もあれば、処分を求める会社もあります。査定を依頼するときに、どこまでの状態で引き渡せるかを確認してください。

住宅ローンが残っていても買取できますか?

売却代金でローンを完済できるなら可能です。完済できない場合は、金融機関との調整が必要になります。まず残債の額を確認してから査定を受けてください。

買取の場合、契約不適合責任はどうなりますか?

不動産会社が買主になる場合、免除される契約になることが多くあります。ただし自動的に免除されるわけではないので、契約書の記載を必ず確認してください。

まとめ:不動産買取のデメリットは価格、利点は速さ

仲介と買取は、優劣ではなく用途の違いです。

  • 手取りを優先するなら仲介。期間は3〜6か月が目安
  • 期間と確実性を優先するなら買取。2週間〜1か月が目安
  • 買取価格は市場価格の6〜8割程度が目安だが、物件により幅がある
  • 買取では仲介手数料はかからないが、価格差のほうが大きいのが通常
  • 売れるまでの維持費も含めて比べる

判断の前に、仲介と買取の両方の金額を手元に並べてください。差額がわかって初めて、どちらを選ぶかを決められます。

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この記事を書いた人

当サイトは、国土交通省の不動産取引価格情報や、宅地建物取引業者の登録情報など、公的に公開されているデータをもとに編集しています。

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