空き家の維持費は年間いくら?内訳と10年放置した場合の累計

空き家の維持費は年間いくら?内訳と10年放置した場合の累計

この記事でわかること

  • 空き家の維持費が年間いくらかかるのか、項目ごとの金額
  • 放置年数ごとの累計と、修繕が必要になったときの上乗せ額
  • 管理不全空家に指定されると税額がどう変わるのか

誰も住んでいない実家を、そのままにしている。人が住んでいないのだから、お金はかからないと思っていないでしょうか。

実際には、住んでいなくても払い続けるものがあります。地方都市の木造2階建て、土地150平方メートルという条件で積み上げると、年間およそ21万6千円かかります。10年放置すれば216万円です。しかもこれは修繕費を含まない金額です。

さらに、管理が行き届いていないと判断されると、固定資産税の軽減が外れます。その場合、土地の税額は最大で6倍になります。

この記事では、空き家の維持費を項目ごとに具体的な金額で示し、放置年数ごとの累計と、税額が跳ね上がる条件を説明します。

目次

空き家の維持費は年間いくらか?

項目ごとの内訳

次の条件で計算します。相続した実家としてよくある想定です。

条件内容
建物木造2階建て・延床100平方メートル・築45年
土地150平方メートル
場所地方都市・自宅から車で1時間半
状態家財を残したまま、誰も住んでいない
空き家の年間維持費の内訳と、放置年数ごとの累計地方都市の木造2階建て、土地150平方メートルの場合、年間の維持費はおよそ21万6千円。内訳は固定資産税6万円、火災保険3万6千円、電気水道の基本料金2万4千円、庭木と草刈り6万円、見回りの交通費3万6千円。5年で108万円、10年で216万円になる。誰も住んでいない家に、年21万6千円かかる地方都市・木造2階建て・土地150平方メートル・築45年で試算固定資産税・都市計画税60,000円庭木の剪定・草刈り(年2回)60,000円火災保険(空き家は割高)36,000円見回りの交通費(年6往復)36,000円電気・水道の基本料金24,000円年間の合計216,000円放置した年数ごとの累計3年 64万8千円5年 108万円10年 216万円修繕は含まず
空き家の年間維持費と、放置年数ごとの累計

固定資産税・都市計画税:年6万円

誰も住んでいなくても、所有している限りかかります。1月1日時点の所有者に課税され、通常は年4回に分けて納付します。

建物が建っている土地には住宅用地の特例があり、200平方メートルまでの部分は課税標準が6分の1に軽減されています。この軽減があるため、この金額で収まっています。

庭木の剪定・草刈り:年6万円

年2回、1回あたり3万円前後が目安です。自分で行けるなら費用はかかりませんが、遠方だと業者に頼むことになります。

放置すると、隣家に枝が越境したり、雑草が伸びて苦情の原因になります。越境した枝は、原則として所有者に切除する義務があります。放置して隣家に損害が出れば、その責任も所有者が負います。

火災保険:年3万6千円

空き家の火災保険は、人が住んでいる住宅より高くなります。人がいないぶん火災の発見が遅れ、放火の対象にもなりやすいためです。

契約している保険が「住宅物件」の扱いのままだと、空き家になった時点で条件が変わり、いざというときに支払われないことがあります。空き家になったら保険会社に用途変更を届け出てください。

電気・水道の基本料金:年2万4千円

使わなくても、契約を残していれば基本料金がかかります。月2千円程度です。

完全に止めると、見回りのときに照明が使えず、トイレも使えません。管理のために最低限残す家が多くあります。

見回りの交通費:年3万6千円

車で往復3時間、年6回で計算しています。高速代とガソリン代で1回6千円程度です。

自分で行けない場合、空き家管理サービスを使う選択もあります。月1回の巡回・通風・郵便物確認で、月5千円から1万円程度が一般的な価格帯です。年間で6万円から12万円になり、自分で行くより高くつきます。

放置年数ごとの累計はいくらになるか?

放置年数維持費の累計
1年21万6千円
3年64万8千円
5年108万円
10年216万円

これは何も壊れなかった場合の金額です。実際には、築45年の家を10年放置すれば、どこかは傷みます。

修繕が必要になったときの上乗せ額

不具合費用の目安
雨漏りの補修5万〜30万円
屋根の葺き替え100万〜200万円
給排水管の破損5万〜20万円
シロアリ駆除15万〜30万円
台風で飛んだ瓦の応急処置3万〜10万円

人が住んでいる家なら異変にすぐ気づきますが、空き家は次の見回りまで分かりません。雨漏りを2か月放置すれば、5万円で済んだ補修が数十万円になります。

管理不全空家に指定されると税額が6倍になる

蔦に覆われ、窓が割れ、屋根の一部が破損した空き家
この状態まで進むと管理不全空家等の勧告を受ける可能性があります

2023年の法改正で対象が広がった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年12月に改正され、「管理不全空家等」という区分が新設されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の「特定空家等」だけが対象でしたが、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある状態でも、勧告の対象になります。指定のハードルが下がりました。

勧告を受けると住宅用地の特例が外れる

市区町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象外になります。200平方メートルまで6分の1だった課税標準がそのままの評価額になるため、土地の固定資産税は最大6倍になります。

先ほどの例で、土地部分の税額が年4万円だったとすると、24万円に上がります。年間の維持費は21万6千円から41万6千円になります。

指定されやすい状態

  • 屋根や外壁の一部が剥がれ落ちている
  • 窓ガラスが割れたままになっている
  • 雑草や樹木が敷地外にはみ出している
  • ごみが放置され、悪臭や害虫が発生している
  • 塀が傾いている、または倒れかけている

いきなり税額が上がるわけではありません。助言・指導が先にあり、それでも改善されない場合に勧告となります。市区町村から通知が届いたら、その時点で対応してください。

維持費を減らす方法と、その限界

家財を処分して電気・水道を止める

年2万4千円の削減になります。ただし見回りが不便になり、内見を受けるときにも支障が出ます。

解体して更地にする

木造2階建て・延床100平方メートルの解体費は、地域や条件によりますが100万〜200万円程度が目安です。庭木や物置、ブロック塀の撤去は別途かかります。

解体すれば建物の管理は不要になりますが、住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税は解体した翌年から上がります。更地にしてから売れるまでに年をまたぐと、その期間ずっと高い税額を払うことになります。

賃貸に出す

収入は得られますが、築45年の家を貸すには、水回りの交換や内装の補修が必要になることが多く、初期費用として数百万円かかります。入居者が付かなければ回収できません。

相続した空き家の場合、もう1つ注意点があります。3,000万円の特別控除は、相続してから売るまで一度も貸していないことが条件です。売れるまでの間だけ貸すと、控除が使えなくなります。

売却する

維持費が完全にゼロになるのは、手放したときだけです。他の方法はすべて、金額を減らすか先送りにするだけで、支払いは続きます。

判断するために先に知るべきこと

売るか持ち続けるかは、感情だけでは決められません。次の2つの数字を並べると判断できます。

  1. その家がいくらで売れるか(複数の不動産会社に査定を依頼する)
  2. 持ち続けた場合、10年でいくら出ていくか(本記事の計算)

売却額が仮に800万円で、10年の維持費が216万円だとすると、10年持ち続けることの実質的な負担は1,000万円を超えます。この比較ができて初めて、判断の材料がそろいます。

1つ目の数字は、査定を受けないと分かりません。査定を依頼しても売却が確定するわけではないので、金額を知ったうえで持ち続ける判断もできます。

空き家の維持費に関するよくある質問

空き家の維持費は平均でいくらですか?

建物の規模、土地の広さ、地域、自宅からの距離で大きく変わります。本記事の条件(地方都市・木造2階建て・土地150平方メートル)では年21万6千円ですが、都市部で土地が広ければ固定資産税だけで年20万円を超えることもあります。

誰も住んでいなくても固定資産税はかかりますか?

かかります。1月1日時点の所有者に課税されます。住んでいるかどうかは関係ありません。

電気と水道は止めたほうがよいですか?

年2万4千円の削減になりますが、見回りや内見のときに不便です。売却を進める予定があるなら残しておくほうが実用的です。

空き家管理サービスは使ったほうがよいですか?

自宅から遠く、年6回も行けない場合は選択肢になります。月5千円から1万円程度が一般的な価格帯で、年間6万円から12万円かかります。自分で行けるなら交通費のほうが安く済みます。

管理不全空家に指定されるとすぐ税金が上がりますか?

いきなりは上がりません。助言・指導があり、改善されない場合に勧告となります。勧告を受けた時点で住宅用地の特例が外れます。通知が届いたら早めに対応してください。

解体すれば維持費はゼロになりますか?

建物の管理費はなくなりますが、土地の固定資産税は残り、しかも住宅用地の特例が外れて上がります。解体費も100万〜200万円かかります。売る予定がないまま解体するのは負担が増えるだけになります。

火災保険は入っていないとどうなりますか?

火災で近隣に延焼した場合、失火の責任に関する法律により重大な過失がなければ賠償責任は問われませんが、自分の建物の損害と解体・撤去費用は自己負担になります。

まとめ:空き家の維持費は年21万6千円、10年で216万円

  • 固定資産税6万円、草刈り6万円、火災保険3万6千円、交通費3万6千円、光熱費2万4千円
  • 10年放置すれば216万円。修繕費は含まない
  • 雨漏りを見逃せば、5万円の補修が数十万円になる
  • 管理不全空家の勧告を受けると、土地の固定資産税は最大6倍
  • 売れるまでの間だけ貸すと、相続空き家の3,000万円控除が使えなくなる

維持費が完全になくなるのは手放したときだけです。売るかどうかを決める前に、まずいくらで売れるかを確認してください。その金額と10年分の維持費を並べれば、判断できます。

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この記事を書いた人

当サイトは、国土交通省の不動産取引価格情報や、宅地建物取引業者の登録情報など、公的に公開されているデータをもとに編集しています。

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そこで、成約価格・売り出し価格・査定額を区別したうえで、市区町村ごとの実際の成約データと、免許を受けている不動産会社の情報を整理しています。

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