不動産会社の選び方。免許番号から営業年数を読み取る方法

不動産会社の選び方。免許番号から営業年数を読み取る方法

この記事でわかること

  • 免許番号のかっこの中の数字から、その会社の営業年数を読み取る方法
  • 全国13万社の中で、その会社がどのくらいの位置にいるかの目安
  • 査定額が会社によって変わる理由と、比べるときに見るべき点

家を売るとき、依頼する不動産会社によって手取り額が数百万円変わることがあります。同じ家でも、会社ごとに査定額が違うからです。

ところが会社の良し悪しは、店構えやチラシからは判断できません。大手だから高く売れるわけでも、地元の会社だから安心とも限りません。どちらが向いているかは、売る物件の種類と場所によって変わります。

外から確認できる判断材料が1つあります。免許番号です。不動産会社は宅地建物取引業の免許を受けないと営業できず、その番号には営業年数と営業範囲の情報が含まれています。国土交通省が公開しているため、誰でも確認できます。

この記事では、国土交通省の宅地建物取引業者登録から全国134,486社・154,800事務所を集計した独自データをもとに、免許番号の読み方と会社の選び方を説明します。契約する前に確認しておけば、判断を誤る可能性を減らせます。

目次

依頼する会社で手取り額が変わる3つの理由

理由1:査定額に決まった計算式がない

査定額は、その会社が「この価格なら売れる見込みがある」と判断した金額です。法律で計算方法が決まっているわけではなく、会社ごとの過去の取引実績や、抱えている買主の情報をもとに算出します。

そのため、同じ家を複数の会社に査定してもらうと金額に差が出ます。数十万円の差で収まることもあれば、数百万円開くこともあります。1社だけに聞いた場合、その金額が高いのか安いのか判断する基準がありません。

理由2:得意な物件と地域が分かれている

不動産会社にはそれぞれ得意分野があります。分譲マンションの売買を中心に扱う会社、戸建てと土地に強い会社、賃貸の管理が主業務で売買はあまり扱わない会社があります。

地域についても同じです。その市で長く営業してきた会社は、どの町のどんな家がいくらで動いたかを実際に見ています。一方、遠方の会社は書類上の相場でしか判断できません。

理由3:買主を抱えているかどうかは外から見えない

売却先を探す方法は、広告を出して待つだけではありません。すでに「この地域でこういう家を探している」という顧客を持っている会社なら、売り出してすぐ話がまとまることがあります。

この違いは会社の外からは判断できません。だからこそ、複数の会社に当たって反応を比べる必要があります。

免許番号から読み取れること

不動産会社の免許番号は、次のように表記されます。

東京都知事(5)第00000号

この表記には2つの情報が入っています。かっこの中の数字と、その前にある行政庁の名前です。

免許番号の読み方免許番号は、免許を出した行政庁、免許の更新回数、通し番号の3つに分かれる。東京都知事(5)第00000号免許を出した行政庁事務所が1つの都道府県内なら知事、2つ以上の都道府県にまたがれば国土交通大臣免許の更新回数5年ごとに1増える。新規取得が(1)。数字が大きいほど長く営業している通し番号行政庁ごとの管理番号。年数とは関係しない
免許番号は「行政庁」「更新回数」「通し番号」の3つに分かれる

かっこの中の数字は免許の更新回数

かっこの中の数字は、免許を更新した回数を表します。新規で取得した時点が(1)で、更新するたびに1ずつ増えます。

宅地建物取引業の免許の有効期間は5年です。1996年3月31日以前は3年でしたので、古い会社ほど回数が積み上がりやすい点には注意が必要です。それでも、数字が大きいほど長く営業を続けてきたことは間違いありません。

表記おおよその営業年数
(1)5年未満
(2)5年以上
(3)10年以上
(5)20年以上
(8)35年以上
(12)以上50年以上

更新回数が多いことは、その地域で事業を継続できてきたことを示します。宅地建物取引業の免許は、更新のたびに営業保証金や保証協会への加入状況、事務所の要件、専任の宅地建物取引士の設置人数などが確認されます。長く続いている会社は、それを繰り返し満たしてきたことになります。

全国13万社のうち、50年以上続いている会社は8.5%

免許の更新回数が何を意味するかを実感するために、全国の免許業者134,486社を更新回数で分類しました。国土交通省の登録情報を集計したものです。

表記営業年数の目安会社数割合
(1)5年未満30,994社23.0%
(2)5年以上21,217社15.8%
(3)〜(4)10〜20年28,958社21.5%
(5)〜(7)20〜35年24,904社18.5%
(8)〜(11)35〜50年17,043社12.7%
(12)以上50年以上11,369社8.5%
全国の宅地建物取引業者134,486社を免許の更新回数で分類した割合5年未満が23.0%、5年以上が15.8%、10から20年が21.5%、20から35年が18.5%、35から50年が12.7%、50年以上が8.5%。0%10%20%30%(1)5年未満23.0% 30,994社(2)5年以上15.8% 21,217社(3)〜(4)10〜20年21.5% 28,958社(5)〜(7)20〜35年18.5% 24,904社(8)〜(11)35〜50年12.7% 17,043社(12)以上 50年以上8.5% 11,369社出典:国土交通省 宅地建物取引業者登録(全134,486社を集計)
全国134,486社を免許の更新回数で分類した割合

開業から5年未満の会社が23.0%を占め、全体のおよそ4社に1社にあたります。一方、(12)以上、つまり50年以上営業を続けている会社は11,369社で8.5%しかありません

なお、全国で最も更新回数が多い表記は(17)でした。1996年以前の3年更新の期間を含めても、70年前後にわたって免許を維持してきた計算になります。

この分布を知っていると、目の前の会社の位置づけが判断できます。(5)なら上位4割、(8)なら上位2割程度に入ります。

知事免許と大臣免許の違いは営業範囲

免許番号の前にある行政庁の名前は、事務所をどこに置いているかで決まります。

  • 事務所が1つの都道府県内だけにある場合は、その都道府県知事の免許
  • 事務所が2つ以上の都道府県にまたがる場合は、国土交通大臣の免許

大臣免許のほうが上位というわけではありません。単に営業している範囲が広いだけです。

実際の比率を集計すると、大臣免許は3,277社で全体の2.4%にとどまり、残る131,209社(97.6%)は都道府県知事免許でした。つまり、街で見かける不動産会社のほとんどは知事免許です。

売却を依頼するうえでは、どちらにも利点があります。大臣免許の会社は他県からの買主を紹介できる可能性があり、知事免許の会社はその地域の事情に詳しい傾向があります。

事務所の数には地域差が大きい

事務所を置いている市区町村は全国で1,673ありますが、分布には大きな偏りがあります。事務所が最も多いのは東京都港区で3,546件、次いで大阪市中央区が2,743件です。一方で、事務所が1件しかない町村も200以上あります。

お住まいの地域に何社あるかによって、選択肢の広さは変わります。事務所が少ない地域では、近隣の市の会社にも声をかけることを検討してください。売却の依頼先は、その市の中の会社に限られるわけではありません。

会社を選ぶときの6つの確認ポイント

ポイント1:免許番号を実際に確認する

免許番号は、事務所の見やすい場所に標識として掲示することが宅地建物取引業法で義務づけられています。会社のウェブサイトにも記載されているのが通常です。

記載がない、あるいは問い合わせても答えない会社は避けてください。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を使えば、商号や免許番号から登録内容を無料で照会できます。免許行政庁、免許証番号、代表者名、事務所の所在地が表示されます。

ポイント2:その地域での取引実績を聞く

「この地域で、去年どれくらい成約しましたか」と直接聞いてください。具体的な件数や、どの町でどんな物件が動いたかを答えられる会社は、実際にその地域で商売をしています。

答えが曖昧な場合、その地域は主戦場ではない可能性があります。事務所が近いことと、その地域に強いことは同じではありません。

ポイント3:査定額の根拠を説明してもらう

査定額そのものより、その金額になった理由のほうが重要です。次の3点を聞いてください。

  • 近隣で実際に成約した事例をいくつ参照したか
  • その事例と自分の家で、条件がどう違うか
  • 駅からの距離、築年数、土地の形状、前面道路の幅をどう評価したか

根拠を示さずに高い金額だけを提示する会社には注意してください。契約を取るために高く見せ、売れないまま値下げを重ねることがあります。査定額は売却価格の保証ではありません

ポイント4:机上査定と訪問査定を使い分ける

査定には2つの方法があります。

種類内容期間の目安
机上査定住所・面積・築年数などの情報だけで概算を出す当日〜数日
訪問査定担当者が現地を見て、状態や周辺環境を確認して算出する1週間前後

売るかどうか迷っている段階なら、まず机上査定で複数社の金額を並べて比べる方法があります。売る意思が固まっているなら、訪問査定のほうが実際の価格に近い金額が出ます。

ポイント5:複数の会社を比べる

1社だけでは、提示された金額が妥当かどうか判断できません。最低でも3社、できれば数社の査定を比べてください。

比べるのは金額だけではありません。連絡の速さ、説明のわかりやすさ、こちらの事情を聞いたうえで提案しているかどうかも見てください。売却は数か月かかることが多く、担当者とのやり取りが続きます。

ポイント6:売り出し価格を決めるのは自分だと理解しておく

査定額はあくまで会社の見込みです。実際にいくらで売り出すかを決めるのは、所有者であるあなたです

急いで現金化したいのか、時間をかけても高く売りたいのか。事情によって適切な価格は変わります。その希望を伝えたうえで、現実的な提案をしてくれる会社を選んでください。

避けたほうがよい選び方

査定額が一番高い会社を選ぶ

最も高い金額を出した会社が、最も高く売ってくれるとは限りません。契約を取る目的で相場から離れた金額を提示し、売れないまま数か月が過ぎて結局値下げする、という流れは実際に起こります。

高い査定額を出した会社には、その根拠を必ず確認してください。他社と大きく違う場合は、なぜその金額になるのかを説明できるはずです。

1社だけで決める

知り合いに紹介された、家の近くにあった、という理由だけで1社に決めると、比べる基準を持たないまま契約することになります。紹介や近さは選択肢に入れる理由にはなりますが、それだけで決める理由にはなりません。

会社の規模だけで判断する

大手か地元かは、優劣ではなく特性の違いです。全国に支店がある会社は広く買主を探せますが、その地域の細かい事情には詳しくないことがあります。地元の会社はその逆です。

物件の種類と、急いでいるかどうかで、向いている会社は変わります。

媒介契約は3種類ある

依頼する会社が決まったら、媒介契約を結びます。契約には3つの種類があり、どれを選ぶかで進め方が変わります。

種類複数社への依頼自分で買主を見つける報告義務レインズ登録
一般媒介できるできるなし任意
専任媒介できないできる2週間に1回以上7日以内
専属専任媒介できないできない1週間に1回以上5日以内

一般媒介は複数社に同時に依頼できますが、各社にとっては他社に決まる可能性があるため、広告に力を入れてもらいにくい面があります。専任媒介と専属専任媒介は1社に絞る代わりに、進捗の報告義務があり、レインズという業者間の情報網への登録も義務づけられています。

どれが有利かは物件によって変わります。買い手がつきやすい物件なら一般媒介で競わせる方法があり、時間がかかりそうな物件なら1社に責任を持たせるほうが動いてもらいやすくなります。

専任媒介で気をつけたいこと

専任媒介や専属専任媒介では、依頼した会社が他社からの問い合わせに応じず、自社で買主を見つけようとする場合があります。売主と買主の両方から手数料を受け取れるためです。

これを防ぐには、レインズに登録された際に発行される登録証明書を受け取り、実際に登録されているかを確認してください。売主本人であれば、専用のページで自分の物件の登録状況を見ることができます。

売却にかかる費用

売却には費用がかかります。手取り額を考えるうえで、査定額から差し引かれるものを把握しておいてください。

費用目安
仲介手数料売買価格400万円超の場合、売買価格×3%+6万円+消費税が上限
印紙税売買契約書に貼付。売買価格により1千円〜数万円
抵当権抹消費用住宅ローンが残っている場合。登録免許税と司法書士報酬
譲渡所得税売却益が出た場合。所有期間により税率が変わる

仲介手数料は法律で上限が決まっており、それを超える請求はできません。上限額を必ず請求されるわけではなく、交渉の余地がある場合もあります。

よくある質問

免許番号のかっこの数字が小さい会社は避けるべきですか?

その必要はありません。(1)や(2)は開業して間もないことを示すだけで、担当者個人の経験年数とは別です。他社で長く経験を積んだ人が独立した会社も多くあります。実際、全国の23.0%が(1)です。免許番号は判断材料の1つとして見てください。

大手と地元の会社、どちらに頼むべきですか?

物件の種類と場所によります。都市部の分譲マンションで買主の母数が多い物件なら、広く告知できる大手が有利に働くことがあります。地方の戸建てや、事情のある物件では、その地域を実際に歩いている地元の会社のほうが買主を見つけやすいことがあります。両方に査定を依頼して、提案内容を比べるのが確実です。

査定を依頼したら、その会社と契約しないといけませんか?

契約する義務はありません。査定は売却価格の見込みを算出してもらう行為で、その後どうするかは所有者が決めます。金額を知ったうえで、売るのをやめる判断もできます。

免許を持っていない業者に依頼してもよいですか?

宅地建物取引業の免許を受けずに売買の仲介を業として行うことは、宅地建物取引業法で禁じられています。免許の有無は必ず確認してください。

会社の免許が有効か確認する方法はありますか?

国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、商号や免許番号から現在の登録内容を照会できます。無料で誰でも利用できます。

査定額と実際の売却価格はどれくらい違いますか?

物件と時期によって変わるため、一律の目安はありません。査定額は「この価格なら売れる見込みがある」という会社の判断であり、買主が現れて初めて価格が決まります。査定額より高く売れることも、下回ることもあります。

仲介ではなく買取を選ぶべき場合はありますか?

買取は不動産会社が直接買い主になる方法で、買主を探す期間が不要なぶん早く現金化できます。ただし、会社が再販することを前提とするため、仲介で売る場合より価格は下がるのが一般的です。期限が決まっている場合や、そのままでは売りにくい状態の物件では選択肢になります。

まとめ

不動産会社を選ぶとき、外から見て判断できる材料は多くありません。その中で免許番号は、営業年数と営業範囲という2つの事実を示してくれます。

  • かっこの中の数字は免許の更新回数で、大きいほど長く営業している
  • 全国13万社のうち、50年以上続く(12)以上は8.5%しかない
  • 大臣免許は全体の2.4%で、優劣ではなく営業範囲の違い
  • 査定額そのものより、その金額になった根拠を確認する
  • 最低3社を比べ、金額だけでなく対応も見る
  • 売り出し価格を決めるのは会社ではなく所有者

査定を依頼した時点では、まだ何も決まりません。金額と各社の対応を知ったうえで、売るかどうかを含めて判断できます。

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この記事を書いた人

当サイトは、国土交通省の不動産取引価格情報や、宅地建物取引業者の登録情報など、公的に公開されているデータをもとに編集しています。

家を売るときに多くの方が悩むのが「この家はいくらで売れるのか」「どの不動産会社に依頼すればいいのか」という点です。同じ物件でも、査定を依頼する会社や地域の市場の状況によって提示される価格は変わりますし、査定額がそのまま売却価格になるとも限りません。

そこで、成約価格・売り出し価格・査定額を区別したうえで、市区町村ごとの実際の成約データと、免許を受けている不動産会社の情報を整理しています。

「査定額だけで不動産会社を決めない」「複数の会社を比較する」「売却価格と手取り額を分けて考える」といった、売却前に知っておきたい点を重視しています。

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